「“文学少女”と慟哭の巡礼者」 野村 美月★★★半☆
「“文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)」 野村 美月
ファミ通文庫(エンターブレイン) ISBN:978-4-7577-3685-6
“文学少女”シリーズも作者の言葉からすると、いよいよ佳境が近づいてきたって感じでしょうか。
8月初めの「シャナ」と9月初めの「ムシウタ」を気にしていて、すっかり忘れていましたが、8月には“文学少女”も出るんだったんですよ。
ということで、今一番のお気に入り、“文学少女”シリーズの新刊です。
例によって、あらすじを出版社から引用します。
あらすじ:
遠子の受験・卒業を目前にし、寂しい思いにとらわれながらも、ななせと初詣に行ったりして、和やかなお正月を迎える心葉。
だが、ななせがケガをし、入院先に見舞いに行った彼は、その心を今も縛り付ける、ひとりの少女と再会する――!
過去に何があったのか。そして今、彼女は何を望んでいるのか……。
心葉は、そしてすべての物語を読み解く”文学少女”は、その慟哭の中から「真実の物語」を見つけ出すことができるのか!?
感想:
いけない。28日に買って、その日には読み終わるという暴挙。もったいない。
さて、「慟哭の巡礼者(パルミエーレ)」ですが、今回は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の本歌取りです。
初めて、このシリーズで、読んだことがない作品に当たってしまいました。もちろん絵本版などは見たことがあるのですが、正式版は未読なんですよ。まぁ、今まではあらすじぐらいの知識で良かったのですが、今回は詳しく知っておいた方が楽しめそうなので、「銀河鉄道の夜」を読み返してから読んだ方がいいですよ。
内容的には、今回は「繋がれた愚者」や前巻のラストで半分告知されていた、「美羽」のお話でした。
「美羽」をやるからには、心葉のトラウマからいって、かなりきつい、痛い話になるんだろうなぁという予想はありました。「死にたがりの道化」の竹田千愛ちゃんの話もアレでしたが。
本来なら、「繋がれた愚者」からすんなり「慟哭の巡礼者(パルミエーレ)」に来る流れだと思うのですが、千愛ちゃんと芥川くんでは、どうあがいても建設的な方向に行きませんし、遠子先輩は名探偵ですから、彼女自身が動き回るわけには行きませんしね。また、前巻ぐらいから、遠子さんが入試だからというか、心葉が一人立ちしてきたため彼女の出番が減ってきています。
そのために、間に「穢名の天使」を挟んで、琴吹ななせちゃんを心葉に近づけて置く必要があったのでしょう。良く考えられています。
このシリーズも、最初の「死にたがりの道化」から結構伏線が張られていますね。形態だけを見れば、1巻完結の広い意味でのミステリなのですが、シリーズ全体に大きな謎を張るというのは、最近のラノベの流行りなのでしょうか。
話がそれました。
<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>
“文学少女”シリーズがミステリの形態を採る以上、謎の提示と謎解きが必要なわけです。今回は、犯人が明確なわけですから、謎が「共犯」は誰だになっています。
それを“文学少女”名探偵遠子さんが解き明かすわけですが、結構途中で分かってしまいますよね。まぁ、登場人物も限られていますし。気付かない人は、どんでん返し的に楽しめるのでしょうが。
そのためか、謎解きのイベントに色を添える、あの交通事故での千愛ちゃんの壊れは良くないですね。まるっきり余分で、印象が悪いです。それがなければ、☆もう半分上げたのに。
まぁ、小説にピースをはめ込むように憑き物を落として行く謎解きは健在です。でも、第三版と第四版って、ちょっと反則気味だと思うぞ。
ということで、いよいよ遠子さんの卒業で、彼女自身の事件ですね。あの最後の文章が気になって気になって気になって気になって気に...。

個人的には、終わって欲しくないシリーズですけど、もう少しで終わりそうです(T_T)あとがきによると、番外編が挟まるみたいですが、次は遠子先輩の話っぽいですね。確かにあのラストかなり気になります。これはツッコんでも意味ないですけど、なんか知ってるんなら教えたれよ美羽。
投稿: ピヨピヨ | 2007年8月31日 (金) 23:11
コメントありがとうございました(多謝)。
>もう少しで終わりそうです(T_T)
まあ、卒業ですからね。季節感をあわせた時期に、終わるのでしょうか。
>これはツッコんでも意味ないですけど、なんか知ってるんなら教えたれよ美羽。
美羽は、まだ何か隠していそう。というか、でないとご都合的な部分が多すぎる気も。
でも、面白いからオケ〜。
投稿: 藍麦 | 2007年9月 1日 (土) 23:18
どうもです〜。
この本も「読み終わるのが勿体ない」シリーズです。(汗
「あっという間」に読み終えてしまいますね。
勿論、面白いからでしょうけど。
しかし、この作品に出てくる人たちって「色々秘めすぎ」と思います。(汗
悪い言い方をすれば「黒い」です。
心葉くんがかわいそうですよ。(苦笑
まぁ、彼は読者と同じ視点ですから、彼が何もかも知っていると物語は
進みませんが・・・。
少し「アレ」って思ったのが、美羽の真意を心葉が知るタイミングが早いなと。
これは、最後にまた何かやってくれるのかと思いました。
が、「美羽」の話は何とか収束してしまって少し拍子抜け・・・。
なんですが、違うことで「えええ、そうきましたか」と最後にやってくれました。(笑
今回は謎解き?の場面はありませんでしたが、最後の場面は良かったです。
あそこに集まってた人たちが1つになるというのでしょうか。
僕は好きです。
でも、皆が「こうしたい」と次々に述べていってたのは、「急だな」と思いました。
1冊に納めるならば仕方が無いのかなと思いましたけどね。
また、美羽が「変わりすぎだなぁ」とも思いました。(笑
本編早く読みたいですよ〜。
次は番外編ですからね。
「シャナ」みたい・・・。
投稿: マサ | 2007年9月 7日 (金) 22:40
コメントありがとうございます。
>「あっという間」に読み終えてしまいますね。
そうなのですが、仕掛けと本歌取りの相手によりますね。難しい元本だと思い出すのに時間が掛かったりしますが。
休まずに読みたくなる本ではあります。
>しかし、この作品に出てくる人たちって「色々秘めすぎ」と思います。(汗
>悪い言い方をすれば「黒い」です。
ああ、色で行くと黒ですが、物語は「青」いですね。
>が、「美羽」の話は何とか収束してしまって少し拍子抜け・・・。
美羽は、散々引っ張ったというか、横筋なのでちょっとあっさりでした。たて筋は、遠子さんですが。
>今回は謎解き?の場面はありませんでしたが、
いや、千愛ちゃんの所は、謎解きですよ。はい。
>次は番外編ですからね。
それはそれで楽しみだったり。
>「シャナ」みたい・・・。
つい先日、別のブログで同じような会話が(爆笑)。
投稿: 藍麦 | 2007年9月 8日 (土) 11:49