「訪問者」恩田 陸★★★半☆
「訪問者」恩田 陸
祥伝社 ISBN: 9784396633172
秋のアニメ新番組が始まる前に、ちょっと読書感想文を書いておこうかと思いました。その一つ目が、恩田 陸さんの「訪問者」です。
5月発売なので、ちょっと出遅れた感想ですが、最近恩田さんの感想を書いていなかったので、まぁ許していただきましょう。(苦笑)
恩田さんにして、久々の本格ミステリーという触れ込みで、期待して読みました。
ということで、感想行きます。
いつもながらに出版社から粗筋を引用しておきます。
あらすじ:
山中にひっそりとたたずむ古い洋館――。
3年前、近くの湖で不審死を遂(と)げた実業家朝霞千沙子(あさかちさこ)が建てたその館に、朝霞家の一族が集まっていた。
千沙子に育てられた映画監督峠昌彦(とうげまさひこ)が急死したためであった。
晩餐(ばんさん)の席で昌彦の遺言が公開される。
「父親が名乗り出たら、著作権継承者とする」
孤児だったはずの昌彦の実父がこの中にいる?
一同に疑惑が芽生(めば)える中、闇を切り裂く悲鳴が!
冬雷の鳴る屋外で見知らぬ男の死体が発見される。
数日前、館には「訪問者に気を付けろ」という不気味な警告文が届いていた……。
果たして「訪問者」とは誰か? 千沙子と昌彦の死の謎とは?
そして、長く不安な一夜が始まるが、その時、来客を告げるベルが鳴った――。
嵐に閉ざされた山荘を舞台に、至高のストーリー・テラーが贈る傑作ミステリー!
感想:
途中までは、嵐の山荘テーマの本格ミステリーかと思い、面白かったです。
ただ、終盤が良くも悪くも恩田節という感じで、本当に本格ミステリーを期待して読んでいると、ちょっと肩すかしかもしれません。
<以下、本の中身に言及している部分があります。ネタバレはしないつもりですが未読の方はご注意を>
嵐の山荘にする意味は、限られた登場人物でといった感じなのかもしれませんが、それもこのお話しではあまり関係ありませんね。最初から関係者が集まっており、そのまま一晩でお話しが完結してしまうのですから。そういう意味でも、ミステリーのコードを模して書かれていますが、あまり活用できていないと感じました。
犯人については、一応意表を付いた解決が用意されてはいますが、結局この本で書かれているのは、人間劇でしょうか。いや、出版社や恩田さんは、本格ミステリーとして書かれているのかもしれませんが。
それが良く現れているのが、途中から登場する名探偵(?)役です。鋭い推理を疲労していきますが、完全に狂言回しですよね。謎解きを始めるタイミングも微妙ですし。
なので、本格ミステリーとして読むと、ちょっとなぁと思われるかもしれません。どちらかというと、ミステリーの形態をしたいつもの恩田さんの達者な文章をたのしむと考えた方がいいかもしれません。

コメント