「クロノ×セクス×コンプレックス」(1) 壁井 ユカコ★★★★☆
「クロノ×セクス×コンプレックス (1)」壁井 ユカコ
電撃文庫 ISBN:978-4048681452
壁井 ユカコさんの「クロノ×セクス×コンプレックス」です。タイムトラベルものという噂を聞いていて、是非読んでみたいなぁ、壁井さんなので悪くはないだろうしと考えていたのですが、ちょっとタイトルに引いてしまって読むのが遅れました。
ただ、タイトルはいやらしい意味でもなくて、内容をそのまま反映したものでした。「クロノ」はそのままギリシャ語の『時間』ですよね。『セクス』は男性女性の『性別』の英語(?)、コンプレックスはそのものです。
だからどうしたというわけでもないのですが、「クロノ・トリガー」とか、日本人は異なる外国語をくっつけるのが好きだなということで。
ということで、感想行きます。
ということで、出版社からあらすじを引用します。
あらすじ:
男女入れ替わり×魔法学校×タイムリープ・ストーリー!
平凡な時計屋の息子・三村朔太郎は、高校の入学式当日、時間が狂った奇妙な路地から見知らぬ学校の入学式に迷い込む。
そこは時間を操る魔法を学ぶ学校で、おまけに自分がミムラという名の女子になっていて!?
そのまま入学を余儀なくされたミムラは、魔法の授業に戸惑ったり、 女子の自分や寮のルームメイト・ニコにドキドキしたりの日々に突入する。
女子寮を統べるホーライ会の一員を選ぶ選挙で候補者に擁立され、男っぽい性格を武器に”女子寮の王子”として名家出身のお嬢様・オリンピアと争うことに なるのだが、それが思わぬ展開に──!?
ミムラの高校生活は驚きと波乱でいっぱいです!
感想:
タイムトラベルものっていう噂だったのですが、この第1巻では煽りに書かれている通り、どちらかというと魔法学園物って趣が強いです。
確かにメインエピソードは、王道的なタイムリープが鍵になっていて、それはそれで面白いのですが、全体を包む雰囲気は魔法学園物ですよね。というか、設定が寄宿舎がある魔法学園物に依っているで仕方がないのでしょう。ただ、物語のある登場人物が『小町を忘れるな』というところを見ると、その設定は魔法学園を使いたいのではなくて、寄宿舎が重要なのかもしれません。
で、お話しですが、あらすじには書かれていませんが、主人公の三村朔太郎が、魔術学校への入学案内を受け取るところから始まります。結局悪戯だと思った朔太郎は、魔術学校の入学式に行くわけもなく、自分の高校の入学式に向かいます。そこで、ミムラと入れ替わってしまうわけです。この入学案内が何かのポイントなんでしょうね。
単に入れ替わりならば、もちろん入学案内は必要ないわけですし、ミムラと入れ替わってしまったことで、朔太郎は魔法学園に入学できなくなったのですから。
しかし、この1巻はほとんどが女子しか出てきません。「マリ見て」って感じで女子同士の鞘当てが展開されるのですが、その背景にはどうやら「コンプレックス」が介在しているようです。ただ、朔太郎は普通の高校生になるはずの男の子ですから、学園に通うオリンピアたち女の子のようなコンプレックスとは無縁です。このコンプレックスがエッセンスとして使われるのだと思いますが、そういう状況でどう見せてくれるのか楽しみです。
<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>
さて、メインディッシュのタイムリープについてもちょっと書きます。この「クロノ×セクス×コンプレックス」は、過去のタイムトラベルものの小説へのオマージュとして書かれているようです。この1巻はハインラインの『夏への扉』らしいです。あまり感じませんでしたが、時間監視辺りの歴史変更への倫理観がそれかな?
タイムリープ自体は、同じ時間を何度も繰り返すというのが王動的で良いのですが、繰り返すたびにズレが酷くなるというのが、ちょっと新しげで面白かったです。
また、女性作家が女性になってしまった男性をどう描くかというのも興味がありますが、まぁライトノベルではこれぐらいでしょうか。(笑)
とにかくこの1巻は、なかなかいいテンポで楽しく読ませてくれました。まだ序章で、今後に引っ張る謎の提示も綺麗だったので、続きが読みたくなっています。期待のシリーズではないでしょうか。

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