「12番目のカード」ジェフリー・ディーヴァー文芸春秋 ISBN:4-16-325290-8
待ってました!
ミステリファンお待ちかねのリンカーン・ライムシリーズの最新刊の登場です。
さて、睡眠不足を覚悟して、ジェットコースターに乗り込むとしませうか。
文芸春秋からのあらすじを引用します。
『単純な女子高生強姦未遂事件が、実は米国憲法の根底をゆるがす140年前の陰謀に結びついていた。ライムの頭脳が時空を越える!』
なんのこっちゃって感じですが、ジェフリー・ディーヴァーの小説の特徴である、細かい描写やミスリードを誘うテクニックの連発、そして何よりも二転三転するプロット(どんでん返し)をネタバレしないように紹介するのは難しいです。
この「12番目のカード」は、リンカーン・ライム シリーズの6番目の作品です。一番有名なのは、映画にもなった『ボーン・コレクター』ですかね。原作の方が10倍面白いですが。
ということで、リンカーンライムシリーズの紹介をしておきます。
このシリーズの主人公であるリンカーン・ライムは、引退した元NY市警科学捜査部長です。ただし、その引退した理由が、事故によって四肢麻痺になり、首から上と左手薬指が動かせるのみになったたためです。現在はNY市警特別顧問として、難事件解決にその頭脳と経験を有効に活用しています。言うなれば、究極の安楽椅子探偵と言えます。
しかし、この分厚い長編を支えるためには、ワトソンではありませんが、彼の手足となって活動する人物が必要です。本シリーズでその役目を担うのが、女性巡査アメリア・サックスです。
ライムとサックスのコンビは、科学捜査を武器に、凶悪な犯罪者を追い詰めていきます。その過程が、ライムの視点、サックスの視点そして犯人の視点を交差させながら、ときにはミスリードを誘いながら展開する様は、まさに“ジェットコースター”です。読み始めたならやめられない。そんな、超お勧めの小説です。
ということで、6冊のシリーズですが、最初から読まれることをお勧めしますが、個人的なランキングを。
1.「コフィン・ダンサー」
このシリーズの特徴であるライムの分析・推論が一番嵌まっているのがこれだと思います。犯人像も秀逸。
2.「ボーン・コレクター」
記念すべきシリーズ第1作。おぞましい犯人像としては、シリーズ1。
3.「魔術師(イリュージョニスト)」
4作目の「石の猿」がいま一つだったのですが、これは最高!
とまぁ、そういうことで、この「12番目のカード」はどうでしょうか?
<以下、本の中身に言及している部分があります。未読の方はご注意を>
はっきり言って、前作の「魔術師(イリュージョニスト)」が秀逸だったこともあって、今一つの感はあります。ただ、シリーズの中での話で、他のミステリと比べると抜群に面白いです。直前に読んでいたのが「邪魅の雫」で、これが全然進まない話だったので余計にそう感じたのかもしれません。
リーダビリティはいつも通りですし、ミスリードによるどんでん返しにもはらはらどきどき。
では何が今一つかというと、ライムが活躍しないのですよ。彼の分析・推論があまりなく、周りのメンバーの活躍や犯人たちの墓穴?で謎が解けていきます。まぁ歴史ミステリとして、過去の謎を解くところに面白みを感じなかったので、余計にそう感じたのかもしれません。
それと、ラストに出てくる真犯人があまりにも唐突です。実行犯の“アベレージ・ジョー”がすごくよかったので、もっと最後まで活躍?させても良かった気がしますが、さすがにあの人物造形では動かし辛かったのかもしれません。
さて、次の「Cold Moon」はシリーズでも最高クラスの面白さらしいので期待しましょう。
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